2013年06月07日

『短歌、BLOGを走る。2012』出版記念宣伝ブログ 〜通常バージョン〜

みなさま。こんばんは。磯野カヅオです。

このたび、掲題の合同歌集が出版されました。

それに伴いまして、今日は、この合同歌集に関することを書こうと思います。

この歌集は、インターネット上の題詠(短歌)イベント「題詠blog」の2012年分の内容をまとめたものです。ちなみに「題詠blog」は2012年で10周年、私はその10年のうち4回参加&完走しています(2007,2008,2009,2012)。

"完走"というのは、掲出される100個のお題を期限内(約10ヶ月間)に詠み終えるという意味で、2012年は、参加者274名のうち129名が完走、合同歌集には36名が参加することになりました。


紀伊國屋書店(新宿本店、新宿南口店など)、三省堂書店など、都内の大きな書店では店頭で、それ以外にも、Amazonや楽天など、インターネットでも購入することができます。

書名:『短歌、BLOGを走る。2012』(五十嵐きよみ:編)
出版社:牧歌舎
ISBN:978-4-434-17843-6
価格:1,000円+税

参加者一覧:

青山みのり/天鈿女聖/鮎美/新井蜜/五十嵐きよみ/磯野カヅオ/今泉洋子/梅田啓子/エクセレント安田/円/小倉るい/久野はすみ/桑原憂太郎/紗都子/珠弾/Jingo/睡蓮。/諏訪淑美/たえなかすず/中村成志/なつ/西中眞二郎/西村湯呑/畠山拓郎/はぼき/東徹也/粉粧楼/み/みずき/南葦太/壬生キヨム/村田馨/柳めぐみ/やや/湯山昌樹/ワンコ山田


全部で425首、いろいろな短歌が載っておりますので、きっと好きになれる1首が見つかると思います。

よろしくお願いいたします。


<<歌集の画像>>
                                                  
2013060200270000 (1).jpg
posted by 磯野カヅオ at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 宣伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『短歌、BLOGを走る。2012』出版記念宣伝ブログ 〜裏バージョン〜

=タカシとマサオ その10〜歌集宣伝編〜=

タカシ:「ついに、僕たちもブログデビューだね」
マサオ:「まさか、本当にこの日が来るとはな」
タカシ:「僕たち、公の場に出ていいの?日の光を浴びていいの?王様の耳はロバの耳ーっ!ってスピーカーで訴えていいの?昨日の夜のマサオの寝言も公表しちゃっていいの?」
マサオ:「太陽は○、拡声器は△、オレの寝言は×だろ」
タカシ:「なーんだ、今日はマサオの寝言ネタをメインに話そうと思っていたのに」
マサオ:「まあ、そうやって脱線することは分かってたからさ、今日は歌集宣伝担当部長を連れてきたんだ」
タカシ:「あ、そちらにいる方?っていうか、歌集宣伝担当部長っていう肩書き、胡散クサくない?」
マサオ:「それでは、カシューさん、お願いします」
カシューナッツ斎藤:「読書感想文がニガテなら、短歌を詠めばいいぢゃない!!」
タカシ:「……連れてくる人、間違えたんじゃないの?」
マサオ:「そんなことないよ。グー○ルで"短歌"と"宣伝"で検索したらヒットしたんだぞ。これはもう、この人に頼むしかないって思ったんだ」
タカシ:「…雑」
マサオ:「雑とか言うなよ。だいたい、カヅオが自分でフツーに宣伝すればいいのによ、アイツ、何やってるんだよ」
タカシ:「カヅオ君は、一定して不安定な自分というジレンマと格闘中って言ってた」
マサオ:「"くん"なんかつける年じゃないだろ。オシャレ坊主の坊主頭さえ自分で面倒が見られないって理由でただの丸刈りにしてて、ウエスト周りを気にしてるとか言いながら、つけ麺にハマッて、つけ麺ばっか毎日食ってる、ただのおっさんじゃねえか」
タカシ:「もうちょっとイイこと言ってあげればいいのに」
カシューナッツ斎藤:「はっはっは、さっきのは冗談ですよ。ちょっと言ってみたかっただけです」
マサオ:「今回の合同歌集はどうですか?」
カシューナッツ斎藤:「とても魅力的な作品が沢山収められていると思います。インターネット上の企画ということで、いろいろなところに住んでいる方々が参加なさっているんですよね。北は北海道から南は九州まで、まさに全国各地の方々の短歌が集まっていると言えると思います」
マサオ:「それは、インターネットというツールを用いていることの特徴のひとつですよね」
カシューナッツ斎藤:「そうですね。現住所や本名、歌歴なども一切問わず、ブログさえあれば参加できるとすることで、さまざまな立場の人が気軽にアクセスして、ルールを守りながら、しかし実に自由に歌を詠む。口語歌もあれば文語歌もあり、結果として多種多様な歌が受け入れられるというシステムになっていると思います」
マサオ:「なるほど、自分とはまるっきり作風の違う歌も見ることになるわけですね」
カシューナッツ斎藤:「ええ、きっと良い刺激になるでしょうね。それから、題詠という、お題を受けて詠むという点なのですが、これは個人的な見解なのですが、お題を受けて詠んでいるというスタンスを取ることで、詠み手は、率直にお題と向き合い、素直になり、詠み手らしさを強めることができるように思います」
マサオ:「と、言いますと?」
カシューナッツ斎藤:「かなり平たく言ってしまえば、お題を言い訳にして、それをシバリとしながら、歌そのものは自由度が増すということです。日常的には無意識に自制していることなども、題詠の歌の中で解放しているという方はいらっしゃると思います」
タカシ:「わかったー!」
マサオ:「なんだよ、タカシ、ちゃんと聞いてたのかよ」
タカシ:「つまり、日の光を浴びていいのかどうか自問自答している人とか、王様の耳のことを叫んでしまいたい人にとって、インターネット&題詠という装置は、結構イケてるってことです」
カシューナッツ斎藤:「…タカシさん、なかなかの慧眼をお持ちですね」
タカシ:「斎藤さんこそ。僕は、一目見て、斎藤さんのことをデキる男だと思ってました」
マサオ:「おまえ、バカにしてたじゃねえか…」
カシューナッツ斎藤:「この歌集には、荻原裕幸さんが寄稿なさっていて、短歌のインフラに関する内容を書かれています。なんといっても、この題詠イベントへの視線がとてもお温かく、参加者は励まされるような気持ちになるのではないかと思います」
マサオ:「そういった点でも、ステキな歌集なんですね」
カシューナッツ斎藤:「この題詠イベントが十年続いているということも、素敵ですよね。荻原裕幸さんのご寄稿のこともそうですが、やはり主宰の五十嵐きよみさんのお人柄やご尽力があっての十周年だったと思います。インターネットというバーチャルな関係性がメインとなる中で、今回で三度目の書籍化となるわけですから」
マサオ:「歌集、いろいろな人に見てもらえるといいですね」
タカシ:「決めました」
マサオ:「ん、なにを?」
タカシ:「僕も歌集を出します」
マサオ:「おまえが?何を詠むんだよ」
タカシ:「もちろん、第一歌集のタイトルは『マサオの寝言』です」
マサオ、カシューナッツ斎藤:「………」

※この歌集にご興味を持たれた方は、"通常バージョン"にて、詳細をご確認ください。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 宣伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月02日

選歌に関する、あれやこれ。

今回は、選歌を実際にやってみて感じたことなどを簡単にまとめておこうと思います。

詠むだけでなく選歌もやってみたいけど、労力はどれくらいなんだろう…などとお考えの方の、参考になればと考えております。

私の場合、大きく二回に分けて選を行ったのですが、本当は、最初の一回だけで終わらせるつもりでした。最初の一回の、その時点で投稿されている歌を対象に、選を行うつもりだったのです。

○一回目(11/10)

ふと、選歌をやろう!と思い立ち、24時間かけてひたすら選を行うと決め、週末を利用して選歌を行いました。どれくらい時間がかかるか全く分かっていませんでしたが、始める前は、100番目のお題まで辿り着けたらいいなあと、漠然と考えていました。しかし、まるまる24時間かけて辿り着けたのは、50番目のお題でした。

さすがにこれでは、いくらなんでも中途半端過ぎると思い、24時間が経過した後も選歌を進め、90番目のお題まで辿り着くことができました。

選歌する時期などにもよりますが、投稿歌は、最初のお題の方が圧倒的に多く、後のお題に進めば進むほど減ってくるので(←当たり前ですね)、まとめて選歌する場合、あるいは完走なさっていない方のお歌も選歌の対象とする場合には、前半は量が多いけれども後半は段々ラクになってくるということになります(←お題単位で考えた場合です)。


○二回目(12/01)

11/10以降、最後の数週間でラストスパートをかける方が多く、11/10時点の歌だけでは申し訳ないと思い、11/10〜12/01に投稿された1番〜90番目の歌+91〜100番目の歌、の選歌を行いました。前回は11/10に選歌を行っているので、それ以降に投稿された歌を確認して(←トラックバックから各人のブログへアクセスすれば、投稿日が分かります)、1番〜90番の歌の「追補版」を作成。91〜100番の歌については、一回目と同様に選歌を行いました。


一回目は約32時間、二回目は約6時間程度かかったと思います。計画性はゼロに等しいものの、二度の週末(連休)があれば、全ての歌の選歌はできるということになります。しかし、一回目は寝ずの作業も含まれているので、あまりオススメはできません。よって、計画的に、三度ぐらいに分ければ、さほど無理なく選歌できると考えてよいかもしれませんです。

こう考えてみると、例えば、ゴールした方を選歌の対象とすれば、選者の負担はさらに減らすことができます。あるいは、参加者がたった1首選歌するだけで、ゴールなさる方の人数だけを考えても、100首〜150首の歌が選ばれるはずなんですよね。

自分で選歌をしてみるまでは、どうせ選歌をするなら全ての歌に目を通して厳密にやらなければとか、さらにちょっと気の利いたコメントなんかもつけられたらいいかなとか、いろいろと思っていたのですが、最初から全部カッコ良くやらなくても、とりあえずやってみるのもアリかなと思えるようになりました。


雑文の域を出ませぬが、今日はこんなところです。
 
posted by 磯野カヅオ at 01:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月01日

選歌は続くよどこまでも! 051「囲」- 090「舌」【追補版】

054「武」

知らぬ地で起こった事情など知らず武蔵野線を今日も待ち侘び (出雲もこみ)

060「プレゼント」

食べかけの割と大きな鳥類をプレゼントにゃと置いて行かれた (高良すな)

061「企」

コンサート君を誘う(いざなう)企ては振られたふりして「代わりに行かない?」 (裕希)

063「久しぶり」

髪型を変えたメイクもかえてみた久しぶりっていうときのため (藤崎しづく)

065「酢」

ちょっとだけキミの三杯酢はあまい すれ違いなどそんなとこから (Jingo)

070「芸」

来年の芸術科目選択を誰と決めるか決めかねている (さくら♪)

072「狭」

冬の日の一番狭い森としてあなたはブロッコリーを残した (さとうはな)

濁らせてしまうみずうみ貝殻の中が狭いと気付かないまま (藤崎しづく)

073「庫」

どうやって入れたんだろう狭い車庫それよりどうやって降りたんだろう (矢野理々座)

074「無精」

無精するきみに無精をせぬ髭が生えればそれは無精髭なり (飯田彩乃)

076「桃」

「おいしない桃やったな」と桃に言うわけでもないし俺にでもない (飯田和馬)

077「転」

生きている証をうたうドリームズカムトゥルー今日の転調しずか (たえなかすず)

078「査」

窓の外に世界もうひとつあるような日を検査薬とともに過ごしぬ (飯田彩乃)

079「帯」

雨音を持たぬ夕方 しずけさを帯びたレアチーズケーキを選ぶ (黒崎聡美)

080「たわむれ」

公園にたわむれている子供らの今日は記憶に残るだろうか (黒崎聡美)

たわむれて私にヘッドホンかぶせ「いいだろ」なんてまるで彼氏だ (裕希)

083「邪」

君からのメールに嬉しくないそぶり天の邪鬼から卒業したい (裕季)

邪魔者と知らなくてごめん気まずげな帰り道さえ楽しかったよ (ちょろ玉)

085「甲」

寄り添へば寄りかかりくる愛すべき甲斐性なしの頬強く打つ (鮎美)

086「片」

みずうみを片づける気もないらしくあなたはついにうかんでこない (杜崎アオ)

087「チャンス」

瀬戸際でチャンスボールを決められぬ運命のまま菜を刻みたり (青山みのり)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 

この【追補版】は、前回の自身の選歌時(11/10以降)より12/01までに投稿されたものから、新たに選歌したものです。91首〜100首は、12/01に選歌したため、追補版はございません。


    
posted by 磯野カヅオ at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも! 001「今」- 050「活」【追補版】

001「今」

今生を花と咲きては散ることに冬の桜の白うたがはず (風橋 平)

010「カード」

こんなにも泣いているのにもう誰の声も聞けないテレフォンカード (ちょろ玉)

014「偉」

偉いねと言われるための毎日を抜け出したくて漕いだ自転車 (ひいらぎ)

018「希」

川を見にきたはずなのに川底に希少な石をさがしはじめる (久野はすみ)

019「そっくり」

僕ににたひとを探してるんですと僕そっくりのかなしみがいう (ろくもじ)

025「触」

本当はその指先に触れたくて触れられなくてグーを作った (如月綾)

026「シャワー」

水泳の授業の前の水シャワー子らは両手を合わせ修行す (海)

031「大人」

大人って 言いかけたまま膨らますもう割れそうにないチューインガム (飯田彩乃)

032「詰」

ビン詰めのマーマレードに込められた四半世紀を今夜たべます (新藤ゆゆ)

033「滝」

気付いてはくれないでしょうその滝におれの涙が交じっていても (ちょろ玉)

034「聞」

朝父を連れ帰り知る新聞の伝える事実と現実の距離 (Jingo)

鈍感なほうが幸せらしいから何も聞こえてない振りをする (如月綾)

036「右」

この道が千本通りこの先が右京区きみへと書いてた住所 (ネコノカナエ)

037「牙」

とこしえに睦みあうのも辛かろう象牙細工の二羽のうさぎよ (久野はすみ)

命名に何か悲しい事実とかあってもなくっても象牙海岸 (久哲)

038「的」

アップルパイが圧倒的な正しさで崩されてゆく白い窓ぎわ (新藤ゆゆ)

039「蹴」

蹴る人と蹴られる球はグランドに。蹴られる人は今日休んでる。(飯田和馬)

041「喫」

制服を脱いだあなたは母の顔喫茶店にも誘えないほど (小倉るい)

副顧問定年ののち喫煙室の窓の濁りの色ふかまらず (鮎美)

043「輝」

きみの瞳の奥底にある輝きをすくおうとしてまた間違える (飯田彩乃)

044「ドライ」

梅雨のなき雪国なべてドライにて賞味期限を無視する人々 (jun)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 

この【追補版】は、前回の自身の選歌時(11/10以降)より12/01までに投稿されたものから、新たに選歌したものです。  
 
 
posted by 磯野カヅオ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも!096「拭」- 100「先」

096「拭」

イメージを払拭したき鏡台に映る明日の素顔、寒紅 (みずき)

拭くことと汚れ広げることは違う 掃除させたらだいたいわかる (猫丘ひこ乃)

清拭をすませし母は棺のなか唇にほんのり紅さしやりて (原田 町)

皿の上のソースを拭うパンのごと自ら汚れてゆく力とは (久野はすみ)


097「尾」

紅のドレスを水に揺らめかせ金魚は尾びれに微熱宿せり (たつかわ梨凰)

彗星の尾をつかまえて繰り返し私は誰と訊くような日々 (東 徹也)

表情は毅然としているつもりでも恥ずかしいほど語尾が震える (五十嵐きよみ)

結婚と尾行を両立させているきみバスタブにアイスを溶かし (我妻俊樹)


098「激」

テレビでは過激なことと響いても映せる程度の激しさである (松木秀)

激しさを増してく雨を口実に「泊まっていけば」と今日こそ言える (流川透明)

進んでも後退しても二つ目の激しく後悔するだろう恋 (ワンコ山田)

中年は激しく煙草を吸っているプラットホームのもっとも端に (黒崎聡美)


099「趣」

趣のある納屋ですね それ以外誉める言葉の出て来ない家 (なまにく)

「趣」と言へる程度に掃き残す 木枯らしに散る銀杏落ち葉を (佐藤紀子)

万が一用があるならいつだって無趣味なぼくは壁際にいる (飯田和馬)

汽水域ばかりの日々に子育ても料理も所詮趣味に終わりぬ (青山みのり)


100「先」

マネキネコダックの着ぐるみ今週は先輩がやるやっぱり上手い (フユ)

たやすくは先を語らぬひととゐて海に入りゆく落日を見る (白亜)

来世もタイタニックの先端で笑いあってるふたりでいたい (やや)

昨日にも今日にも飽きて日めくりに先ずは子猫をさがす夕暮れ (青山みのり)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
  
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選歌は続くよどこまでも!091「締」- 095「樹」

091「締」

愛されることの幸せかみ締めてコンパクトの蓋ぱちんと閉める (nobu)

いつからか比喩ではなくて文字通り胸が締めつけられる気がする (はぼき)

靴ひもを締め直したらもう一度つまずく前から始めればいい (五十嵐きよみ)

水道の蛇口をきゅっと締めながら転校すると告げたね、君は (白亜)


092「童」

童顔で幼く見える僕だけど頼ってほしい頑張るからさ (薫智)

掌に消毒の泡を擦り込んでマスクを着けてゆく児童館 (秋月あまね)

向日葵と背比べする童女らの眩しさは陽のためのみならず (真桜)

早送りできぬものとしレンタルの映画予告と大童のわれ (梅田啓子)


093「条件」

無条件にイエスを言い続けることの誇らしくまた甘いゆうぐれ (佐竹弓彦)

条件を減らしましょうとコンサルの人に言われて10個に減らす (南野耕平)

ひとことが余計で交換条件のように聞こえてしまう約束 (五十嵐きよみ)

人になるための条件教えてやるし雨と一緒に降って来い、空 (ちょろ玉)


094「担」

担当ですと挨拶に来し看護婦の声の明るき夕べの病室 (西中眞二郎)

これからの日本の国の担い手は汚染とともに生きる覚悟で (遥)

担うべきわが花はただ歌うことかいつか骸となるまでの日を (佐竹弓彦)

担当者不在のために一切の愛に応えることが出来ない (あみー)


095「樹」

記念樹と言い張るのならそれも良しふたり見上げましょうか鉄塔 (中村成志)

街路樹に巻きつけられた電飾がただ刺々と浮かぶまひるま (黒崎立体)

街路樹に番号札がつけられてそれらも街の備品だと知る (はぼき)

やわらかい樹木にもたれぼくたちは双子を授かるような気がする (ちょろ玉)


※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
  
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2012年11月12日

選歌は続くよどこまでも!086「片」- 090「舌」

086「片」

片側の靴の底だけすりへって屈託のない日常を抱く (シュンイチ) 

久々の友は片手を軽く上げて葬列後尾に加わり行けり (西中眞二郎) 

片恋をしている君が羨ましいたとえ相手が私としても (流川透明) 

片陰に身を寄せ凌ぐ夏の陽も季の過ぎれば恋しくならん (コバライチ*キコ) 


087「チャンス」

今日こそは旨い!と言わせるチャンスだと 張り切ったのに又指を切る (椋) 

人々の落としたチャンスが流れつく昏き河から綺麗な虹が (小夜こなた) 

ふたたびは来ないチャンスと知りながら東の空を幾たびも見る (紗都子) 

この手には握られたチャンスあるはずできっと生きてる意味あるはずで (希屋の浦) 


088「訂」

全身に訂正印は押されててひとつひとつが思い出である (夏実麦太朗) 

駆除された語彙のことなど思いつつ改訂前の原書にあたる (秋月あまね) 

改訂の意欲はあれど売れそうにないと言われて電話を切りぬ (西中眞二郎) 

改訂という名の減便続けられバスは市民の足ではなくなる (湯山昌樹) 


089「喪」

秋霧の晴れて火葬場まで歩く 喪服の脇は汗ばんでいる (tafots) 

夕飯の段取り想う知り合いの知り合いの知らない人の喪で (青野ことり) 

喪失を余儀なくされし人々の悲しみ今も滲む秋灯 (小夜こなた) 

喪失を失はされる僕たちの周りに欲しいモノが溢れり (桑原憂太郎) 


090「舌」

にが虫を潰したやうな面持ちで巻き舌をんなの英語を聞きぬ (ケンイチ) 

舌先の舐めて飲み込む恋ひとつ萩の下葉の露ぞ甘かる (槐) 

庭つ鳥にわとりの舌尖るとき啼くぞ啼くぞと見ている 啼かぬ (tafots) 

竜舌蘭を教えてくれてありがとう 魚磔、鬣、だいすきでした (黒崎立体) 



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選歌は続くよどこまでも!081「秋」- 085「甲」

081「秋」

四季のある国に生まれてまだ秋の正しい使い道を知らない (なまにく) 

蚊を殺し蚊をころしゆく秋の夜は死海の塩を湯船に入れる (梅田啓子) 

秋霧の晴れ着を借りて妹のそれに似るよう目尻を描く (tafots) 

来春の仮契約を期待してまずはメールで秋波を送る (桑原憂太郎) 

   
082「苔」

薄ら日の斑を描きつる苔寺にいにしへびとの影行き交ひぬ (紫苑) 

不安げに苔の線量測る友こんな時代に生きる子どもら (遥) 

朽ち臥して苔生す杜や蝉しぐれ夢と過ぎにし夢の数々 (すずめ) 

憎しみは舌苔のごとくはびこれり きれいなうたはもう歌えない (梅田啓子) 


083「邪」

風邪をひく前に葛根湯飲めと風邪ひいてしまった後に言われる (夏実麦太朗) 

ひまわりを薬罐に刺して8月はわが家を邪宗門と名付ける (柳めぐみ) 

清らかでいたい気持ちが邪魔をして魚と水が区別できない (あみー) 

邪魔になる髪を縛って休日の午後いっしんにタイルを磨く (五十嵐きよみ) 


084「西洋」

西洋のお菓子が青い空ならば和菓子は春の薄墨の色 (ほたる) 

垂乳根の祖母の生まれはたしか西洋酒に浸けた無花果が好き (tafots) 

あの店の西洋菓子を手みやげに詐病の友を気遣いにゆく (はぼき) 

親戚の集まりでまた語られる西洋かぶれの祖父の思い出 (五十嵐きよみ) 


085「甲」

若き日の歌読みおれば年甲斐なき感傷も湧き夜の更けたり (西中眞二郎) 

消しゴムで消せば済むのにおおげさに甲板(デッキ)ブラシを持ち出すからだ (佐竹弓彦) 

真っ先に冬が降り立つ手の甲はきっと君からするりと逃げる (ワンコ山田) 

甲高な足の娘は季節ごとシンデレラにはなれないと泣く (津野) 



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2012年11月11日

選歌は続くよどこまでも!076「桃」- 080「たわむれ」

076「桃」

照れながら頬桃色に染める君一瞬で僕恋におちてく (薫智) 

トンネルを抜ければ桃の花盛り甲府盆地の午後は晴れたり (西中眞二郎) 

扁桃の花にまろびぬ早春は少女の胸のふくらみのごと (ケンイチ) 

花よりもふっくら熟れた実の赤さこそ桃色と名づけたくなる (五十嵐きよみ) 

 
   
077「転」

「逆転の報徳」「復路の順天堂」ひっくり返すための卓袱台 (珠弾) 

異文化をかすか見せて壇上の転校生はあかるく笑う (紗都子) 

セレブとは電動機付き自転車で庶民のチャリを越えてゆくこと (じゃこ) 

転んでもすぐには起きず金色(こんじき)の落ち葉のこゑにしばし聴き入る (今泉洋子) 

 
078「査」

封筒が持ち物検査に引っ掛かる先生それはあなた宛です (流川透明) 

神父さん「査定に響く」が口グセで今日も笑顔で告悔室に (中村成志) 

検査機の針がふれてる愛されているのですねと先生が言う (フユ) 

日食の連続写真に紛れ込む視力検査のマークのひとつ (五十嵐きよみ) 


  
079「帯」

お祭りに行こうと突如誘われてオフィスでググる帯の締め方 (柳めぐみ) 

なぜ母は携帯電話のキータッチ音を消さずにメールを打つの (なまにく) 

帯に惚れ衝動買いをしたものの似合う着物が見つからなくて (るいぼす) 

燃え上がる山のふもとに鹿降りて吾は妻帯と何度でも言ふ (津野) 


080「たわむれ」

たわむれに背負うと危険腰を二度やってしまった僕は知ってる (夏実麦太朗) 

たわむれに交わし始めた掛け合いはジェンガのパーツ引きぬくようで (真桜) 

たはむれし夜の吐息のせつなしや振り向く君の飾らぬえまひに (槐) 

たはむれの母の言葉を真に受けてをさなの大き目が潤みたり (佐藤紀子) 



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