2008年08月31日

西行のこと(義清編)。

今日は、西行のこと。

西行に関する概略については"佐藤編"をご覧ください。

○女郎花わけつる野辺と思はばやおなじ露にし濡ると見てそは
○ひとり寝の友にはならで蛬鳴く音をきけば物思(ひ)そふ
○いかにせん影をば袖に宿せども心のすめば月のくもるを
○西へ行(く)しるべとたのむ月影のそらだのめこそかひなかりけれ
○さしいらでくもぢを過ぎし月影はまたぬ心ぞ空にみえける

西行の歌にはとても長い詞書の付いたものがあり、どんな状況で、あるいは誰に対して詠まれたかなどがよく分かる歌もあるのですが、その一方でいつ詠まれたか分からない歌も多く、例えば、西行の歌集の中で最も有名な「山家集」の和歌についても、詠まれた時期が分からないものが多いようです。
※「山家集」にもいくつかの種類(写本の系統)があります。

そう、西行って、実は分からないことが多い人なのです。
そして、そこがまた西行の魅力なのだと、思います。

そんな西行のことについて書かれた本のうちオススメのものを、以下にいくつか挙げてみます。

「西行・山家集」(井上靖、学習研究社)
詠まれた時期が判明している和歌を並べつつ、西行の生涯とその歴史的背景に触れる構成になっていて、「西行物語絵巻」の絵なども挿入されているので、西行に関する全体感をイメージしやすい一冊です。

「西行−花の下にて春死なん−」(有吉保、集英社)
西行の生涯を辿る上では手に取りやすい一冊だと思います。とてもシンプルですが、最後に付いている西行略年譜なども何気に親切だと思います。

「歌人西行−生活と歌−」(窪田章一郎、短歌新聞社)
西行の生涯&和歌の解説が載っている、こちらも西行の全体像をつかみやすい本です。図書館などで見つかれば、読んだ方がよいと思います。
ちなみに、この本の中の「西行の生涯」の項は、西行の生涯を中心に「西行の研究」(窪田章一郎、東京堂)を要約したものだそうです(あとがきより)。

「西行山家集入門」(久保田淳、有斐閣)
タイトルの通り、歌集「山家集」に関する評釈本です。「山家集」以外の和歌についても少し触れています。久保田淳といえば「新古今和歌集」の訳を行っている人でもあるので、そのつながりで手にしてみるもよし、あるいはさらに「久保田淳著作選集」(久保田淳、岩波書店)の第一巻(←西行初心者向きではないが)で、久保田氏の語る西行に触れてみるもよし、です。

「西行の思想史的研究」(目崎徳衛、吉川弘文館)
西行の出自や妻子の有無などについて、時には他の西行研究者(川田順氏や窪田章一郎氏など)の見解なども引き合いに出しつつ肯定or批判しながら、ひとつひとつを丁寧に検証and論述しています。こういう仕事をする人がいて判明していく事実があるのだなあと、しみじみ感じる本です。かなりディープな内容だと思うので、ある程度西行のことが分かってから、でも西行のことを知ろうと思うのであれば必ず、手に取りたい一冊です。

※西行の和歌そのものについては、
「日本古典文学体系29−山家集・金塊和歌集−」(風巻景次郎,小島吉雄校注、岩波書店)、「ワイド版岩波文庫(157)−山家集−」(佐佐木信綱校訂、岩波書店)、「新潮日本古典集成−山家集−」(後藤重郎、新潮社)、その他西行全集などを参照のこと。


出家者=僧侶でありながら、あくまでも歌人で在り続けた西行に惹かれる人は、現代においても案外多いのではないかと思います。時代背景なども踏まえつつ、西行のことを知ってみるのも良いと思います。


それでは、また。
 
posted by 磯野カヅオ at 04:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 和・古 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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