2008年09月28日

和泉式部のこと(沢の蛍編)。

今日は、和泉式部のこと。

和泉式部に関する概略については"冥き道編"をご覧ください。

○冥きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の端の月
○黒髪の乱れも知らずうち臥せばまづかきやりし人ぞ恋しき
○もの思へば沢の蛍も我身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る
○つれづれと空ぞ見らるる思ふ人天降り来ん物ならなくに
○鳴く虫のひとつ声にも聞えぬは心々に物や悲しき

飾らずに愚直なまでに率直に詠むのが和泉式部。そこに在る恋の気配だったり孤独感だったりを、そのまま味わえばよいのだと思います。


さて、和泉式部について書かれた本はいろいろとあるのですが、辿り着くのが困難な"和泉式部本"もあったりするので、図書館などで探す時にはちょっと注意が必要かもしれませんです。

「和泉式部」(山中裕、吉川弘文館)
時代背景を踏まえて、比較的客観的に和泉式部の生涯が説かれています。恋愛歌人としてなどではなく、単に和泉式部に関する基本的な情報を知りたいという場合には、参考になると思います。

「与謝野晶子全集第13巻」(与謝野晶子、改造社)
この全集の中にある「和泉式部新考」は、和泉式部の生涯がかなり分かりやすくまとめてあると思います。「和泉式部新考」後に、この内容に対する新説(反論)なども唱えられていると思いますが、それを差し引いても、この文章には目を通した方がよいと思います。
しかし、改造社出版の与謝野晶子全集はおそらく限定された図書館にしか置いてありませぬ。他の全集などに「和泉式部新考」が含まれているものがあるとよいのですが。

「窪田空穂全集第十巻−古典文学論U−」(窪田空穂、角川書店)
この全集の中にある和泉式部関連の文章も、和泉式部のことが簡潔にまとめられていて、参考になると思います。少し規模の大きい図書館であれば置いてあると思います。

「日本詩人選8−和泉式部−」(寺田透、筑摩書房)
和泉式部が詠んだ個々の和歌に焦点を当てて読み解きつつ、和泉式部の生涯についても触れています。先人の研究成果を踏まえつつ寺田氏独自の見解も述べられていて良いと思います。ある程度和泉式部の全体像を掴んだ後で読むと分かりやすいです。

「和泉式部集・和泉式部続集」(清水文雄校注、岩波書店)
例えば、丁寧に評釈の書かれた「和泉式部集全釈」(佐伯梅友,村松治,小松登美共著、東宝書房)という本などもあったりするのですが、清水氏はこの「和泉式部集全釈」も踏まえて校注を加えているみたいなので、清水氏の方で十分かなと思います。シンプルで分かりやすいし。
しかし、この本も普通の図書館では意外と目にすることができない一冊かもしれませんです。古書店などには置いてあったりするのでしょうか。

※その他、和泉式部の和歌および日記そのものについては、
「和泉式部日記」(清水文雄校注、岩波書店)、「日本古典全集−和泉式部全集−」(与謝野寛,正宗敦夫,与謝野晶子編纂:校訂、現代思想社)、「新潮日本古典集成−和泉式部日記・和泉式部集−」(野村精一、新潮社)、などを参照のこと。


"冥き道編"に続いて"沢の蛍編"の最後まで、つまりここまで読まれた方は、きっと"和泉式部のことをちょっと知ってみたいかも"と思った方に違いありません(思っていなくてもいいのですが)。生涯を通して自分自身に翻弄されたであろう和泉式部の人となりを知ってみたいと思った方は、そのよすがとして、歌集や日記などに目を通してみるのもよいのではないかと思います。


それでは、また。
 
posted by 磯野カヅオ at 06:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 和・古 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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