2012年11月11日

選歌は続くよどこまでも!056「晩」- 060「プレゼント」

056「晩」

日の暮れておのれに向かふ時の欲し茜の空に晩鐘わたる (紫苑)

その意識なきままに日を送りおれど既に晩年なるやも知れず (西中眞二郎)

晩飯をのり弁などで過ごしては第三歌集のために貯金す (松木秀)

過去からは学ぼうとしないこの国にわが晩年を預けるほかなく (梅田啓子)

   
057「紐」

プラダ着るアン・ハサウェイになりたくて、パンプスを履く あゝ紐育 (佐藤満八)

くつ紐を一人で結び駆けてゆく 初登校の一年生が (佐藤紀子)

立秋の頃より組紐教室に通いはじめし妻の口紅 (穂ノ木芽央)

靴紐を結び直して立ち上がるときの無敵な気分が好きだ (南野耕平)

 
058「涙」

更に又激しくなるや涙雨芭蕉打つ音の夜に響けり (横雲)

左目の涙は涙管異状ゆえと聞かれぬ前に言い訳をする (西中眞二郎)

水なんて買うもんじゃないそれがもし女子高生の涙なら買う (熊野ぱく)

新しい涙が流れていく以上続くバナナの国の闘争 (南葦太)


 
059「貝」

貝殻のように閉じてた純粋な魂を今我が手に堕とす (蓮野 唯)

とき過ぎて逢ふ瀬の水脈も絶たるればいづこに寄らむ恋忘れ貝 (紫苑)

ムール貝のスープを飲めば吾の中に小さくエーゲ海が生まれる (猫丘ひこ乃)

一心に返す波待ち貝殻を靴いっぱいに我が子は詰める (佐藤満八)


060「プレゼント」

キャバ嬢に俺の作品プレゼント ヤフオクに出て妻が落札 (北大路京介)

腕傷め日傘させない母親にプレゼント来たりつば広帽子 (七十路淑美) 

神様のプレゼントだと言ひ聞かす運動会の朝の快晴 (佐藤紀子)

プレゼント交換している最中にわずかにふれた手が宝物 (匿名希望)


※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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