2012年11月11日

選歌は続くよどこまでも!066「息」- 070「芸」

066「息」

息子には息子としての考えが 母は今でも抱きしめたいのだ (ひじり純子)

うつしよは春の夢よと吐息せば永くもがなと肌寄する君 (すずめ)

息を詰め画面に見入る走者らが100メートルを駆け抜けるまで (五十嵐きよみ)

ディスプレイを見つめたままの21:00後ろの席のため息を聞く (桑原憂太郎)

   
067「鎖」

こころを鎖し生き来しひとの唇はたとえば糸切り鋏のうすさ (梅田啓子)

ランドセル置くが早いか駆け出した鎖を解かれた犬さながらに (五十嵐きよみ)

昼過ぎに炎上をして営業を終へた夕べに閉鎖されをり (桑原憂太郎)

夏コミケやぐら橋には人あふれ封鎖されたと報がながれる (村田馨)

 
068「巨」

見た目なら少し巨漢の僕だけど小心者で好きと言えない (薫智)

希望ってものを巨大化してみたらダルビッシュ有みたいになった (天鈿女聖)

一粒ずつ巨峰をもいで洗う人皮も食べろとわたしに言うの (ゆり・くま)

降り積もる有効数字以下の誤差 巨大な星を遠くから見る (南葦太)


 
069「カレー」

四畳半 裸電球 ちゃぶ台の   「カレー」 って名の 「しあわせ」 あった (映子)

キャリーバッグ押す人群れの連なれるモノレールへのエスカレーター (西中眞二郎)

がしがしとカレー南蛮食らう娘をホテルへ誘う勇気が出ない (佐竹弓彦)

「好きな食べ物」に「カレー」と書くような人を選んだほうがいいのに (本間紫織)


070「芸」

趣味として手芸を挙げる少女たち指にほのかな自慢を見せて (紗都子)

芸術は見上げたときに現れる聖橋そのアーチのライン (村田馨)

画の前に光の当たらぬ場所があり学芸員の念が集まる (津野)

あのコより愛しているの?あなたから芸術的な嘘が聞きたい (葉月きらら)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 20:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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