2012年11月11日

選歌は続くよどこまでも!071「籠」- 075「溶」

071「籠」

自転車の籠に入ったチラシには明るい暮らしが保証されてる (夏実麦太朗) 

手籠には七草摘んで妹と遊びし川は今日もながれて (はこべ) 

とびっきり陽気に歌う鳥ばかり集まれパパゲーノの鳥籠に (五十嵐きよみ) 

自転車の籠の炭酸飲料は綺麗見紛うほど穴だらけ (秋) 

   
072「狭」

蕗の薹ひとつ葉陰に出で初めてわが狭庭にも春おとづれぬ (紫苑) 

狭量と言はれ鬱なる数日を季の移ろひて櫻雨降る (みずき) 

灯台の狭い階段のぼりきりいきなり視界いちめんの空 (五十嵐きよみ) 

時雨降る若狭街道まつすぐに登美子の家まであと三里ある (今泉洋子) 

 
073「庫」

図書館も短歌俳句に冷たくて閉架書庫でも取り扱わず (平和也) 

兵庫帯を結んでくれた母は今認知症にて異文化圏内 (はこべ) 

格納庫では翼を傷めた爆撃機のメロンはまだかという声がする (佐竹弓彦) 

ハマッちゃいますよねやっぱ剥くのってナショナル冷蔵庫の薄皮を (中村成志) 


 
074「無精」

出不精になってみようか雨の日に貴方をずっと抱いていようか (蓮野 唯) 

部屋の隅 丸くほこりが 纏まりて 無精やもめに 春昼(しゅんちゅう)来たり (廣珍堂) 

経験の有無精確に調べゆくオペを託する外科医を得むと (梅田啓子) 

「寝坊した」寝癖もなおさないままの無精ひげには結構惚れる (村木美月) 


075「溶」

世界など溶ければよいとふたりして貪るペイパーバックの時間 (東 徹也) 

今すぐに溶けて消えたいあのひとに当たる朝陽を遮らぬよう (山本左足) 

水色に水をどれだけ溶かしても雨の絵が青空の絵になる (じゃこ) 

溶け込んでいるのか浮いているのかはどちらでもいい みんなと笑う (南野耕平) 



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/301383999

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。