2012年12月01日

選歌は続くよどこまでも!096「拭」- 100「先」

096「拭」

イメージを払拭したき鏡台に映る明日の素顔、寒紅 (みずき)

拭くことと汚れ広げることは違う 掃除させたらだいたいわかる (猫丘ひこ乃)

清拭をすませし母は棺のなか唇にほんのり紅さしやりて (原田 町)

皿の上のソースを拭うパンのごと自ら汚れてゆく力とは (久野はすみ)


097「尾」

紅のドレスを水に揺らめかせ金魚は尾びれに微熱宿せり (たつかわ梨凰)

彗星の尾をつかまえて繰り返し私は誰と訊くような日々 (東 徹也)

表情は毅然としているつもりでも恥ずかしいほど語尾が震える (五十嵐きよみ)

結婚と尾行を両立させているきみバスタブにアイスを溶かし (我妻俊樹)


098「激」

テレビでは過激なことと響いても映せる程度の激しさである (松木秀)

激しさを増してく雨を口実に「泊まっていけば」と今日こそ言える (流川透明)

進んでも後退しても二つ目の激しく後悔するだろう恋 (ワンコ山田)

中年は激しく煙草を吸っているプラットホームのもっとも端に (黒崎聡美)


099「趣」

趣のある納屋ですね それ以外誉める言葉の出て来ない家 (なまにく)

「趣」と言へる程度に掃き残す 木枯らしに散る銀杏落ち葉を (佐藤紀子)

万が一用があるならいつだって無趣味なぼくは壁際にいる (飯田和馬)

汽水域ばかりの日々に子育ても料理も所詮趣味に終わりぬ (青山みのり)


100「先」

マネキネコダックの着ぐるみ今週は先輩がやるやっぱり上手い (フユ)

たやすくは先を語らぬひととゐて海に入りゆく落日を見る (白亜)

来世もタイタニックの先端で笑いあってるふたりでいたい (やや)

昨日にも今日にも飽きて日めくりに先ずは子猫をさがす夕暮れ (青山みのり)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
  
posted by 磯野カヅオ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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