2012年12月02日

選歌に関する、あれやこれ。

今回は、選歌を実際にやってみて感じたことなどを簡単にまとめておこうと思います。

詠むだけでなく選歌もやってみたいけど、労力はどれくらいなんだろう…などとお考えの方の、参考になればと考えております。

私の場合、大きく二回に分けて選を行ったのですが、本当は、最初の一回だけで終わらせるつもりでした。最初の一回の、その時点で投稿されている歌を対象に、選を行うつもりだったのです。

○一回目(11/10)

ふと、選歌をやろう!と思い立ち、24時間かけてひたすら選を行うと決め、週末を利用して選歌を行いました。どれくらい時間がかかるか全く分かっていませんでしたが、始める前は、100番目のお題まで辿り着けたらいいなあと、漠然と考えていました。しかし、まるまる24時間かけて辿り着けたのは、50番目のお題でした。

さすがにこれでは、いくらなんでも中途半端過ぎると思い、24時間が経過した後も選歌を進め、90番目のお題まで辿り着くことができました。

選歌する時期などにもよりますが、投稿歌は、最初のお題の方が圧倒的に多く、後のお題に進めば進むほど減ってくるので(←当たり前ですね)、まとめて選歌する場合、あるいは完走なさっていない方のお歌も選歌の対象とする場合には、前半は量が多いけれども後半は段々ラクになってくるということになります(←お題単位で考えた場合です)。


○二回目(12/01)

11/10以降、最後の数週間でラストスパートをかける方が多く、11/10時点の歌だけでは申し訳ないと思い、11/10〜12/01に投稿された1番〜90番目の歌+91〜100番目の歌、の選歌を行いました。前回は11/10に選歌を行っているので、それ以降に投稿された歌を確認して(←トラックバックから各人のブログへアクセスすれば、投稿日が分かります)、1番〜90番の歌の「追補版」を作成。91〜100番の歌については、一回目と同様に選歌を行いました。


一回目は約32時間、二回目は約6時間程度かかったと思います。計画性はゼロに等しいものの、二度の週末(連休)があれば、全ての歌の選歌はできるということになります。しかし、一回目は寝ずの作業も含まれているので、あまりオススメはできません。よって、計画的に、三度ぐらいに分ければ、さほど無理なく選歌できると考えてよいかもしれませんです。

こう考えてみると、例えば、ゴールした方を選歌の対象とすれば、選者の負担はさらに減らすことができます。あるいは、参加者がたった1首選歌するだけで、ゴールなさる方の人数だけを考えても、100首〜150首の歌が選ばれるはずなんですよね。

自分で選歌をしてみるまでは、どうせ選歌をするなら全ての歌に目を通して厳密にやらなければとか、さらにちょっと気の利いたコメントなんかもつけられたらいいかなとか、いろいろと思っていたのですが、最初から全部カッコ良くやらなくても、とりあえずやってみるのもアリかなと思えるようになりました。


雑文の域を出ませぬが、今日はこんなところです。
 
posted by 磯野カヅオ at 01:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月01日

選歌は続くよどこまでも! 051「囲」- 090「舌」【追補版】

054「武」

知らぬ地で起こった事情など知らず武蔵野線を今日も待ち侘び (出雲もこみ)

060「プレゼント」

食べかけの割と大きな鳥類をプレゼントにゃと置いて行かれた (高良すな)

061「企」

コンサート君を誘う(いざなう)企ては振られたふりして「代わりに行かない?」 (裕希)

063「久しぶり」

髪型を変えたメイクもかえてみた久しぶりっていうときのため (藤崎しづく)

065「酢」

ちょっとだけキミの三杯酢はあまい すれ違いなどそんなとこから (Jingo)

070「芸」

来年の芸術科目選択を誰と決めるか決めかねている (さくら♪)

072「狭」

冬の日の一番狭い森としてあなたはブロッコリーを残した (さとうはな)

濁らせてしまうみずうみ貝殻の中が狭いと気付かないまま (藤崎しづく)

073「庫」

どうやって入れたんだろう狭い車庫それよりどうやって降りたんだろう (矢野理々座)

074「無精」

無精するきみに無精をせぬ髭が生えればそれは無精髭なり (飯田彩乃)

076「桃」

「おいしない桃やったな」と桃に言うわけでもないし俺にでもない (飯田和馬)

077「転」

生きている証をうたうドリームズカムトゥルー今日の転調しずか (たえなかすず)

078「査」

窓の外に世界もうひとつあるような日を検査薬とともに過ごしぬ (飯田彩乃)

079「帯」

雨音を持たぬ夕方 しずけさを帯びたレアチーズケーキを選ぶ (黒崎聡美)

080「たわむれ」

公園にたわむれている子供らの今日は記憶に残るだろうか (黒崎聡美)

たわむれて私にヘッドホンかぶせ「いいだろ」なんてまるで彼氏だ (裕希)

083「邪」

君からのメールに嬉しくないそぶり天の邪鬼から卒業したい (裕季)

邪魔者と知らなくてごめん気まずげな帰り道さえ楽しかったよ (ちょろ玉)

085「甲」

寄り添へば寄りかかりくる愛すべき甲斐性なしの頬強く打つ (鮎美)

086「片」

みずうみを片づける気もないらしくあなたはついにうかんでこない (杜崎アオ)

087「チャンス」

瀬戸際でチャンスボールを決められぬ運命のまま菜を刻みたり (青山みのり)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 

この【追補版】は、前回の自身の選歌時(11/10以降)より12/01までに投稿されたものから、新たに選歌したものです。91首〜100首は、12/01に選歌したため、追補版はございません。


    
posted by 磯野カヅオ at 17:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも! 001「今」- 050「活」【追補版】

001「今」

今生を花と咲きては散ることに冬の桜の白うたがはず (風橋 平)

010「カード」

こんなにも泣いているのにもう誰の声も聞けないテレフォンカード (ちょろ玉)

014「偉」

偉いねと言われるための毎日を抜け出したくて漕いだ自転車 (ひいらぎ)

018「希」

川を見にきたはずなのに川底に希少な石をさがしはじめる (久野はすみ)

019「そっくり」

僕ににたひとを探してるんですと僕そっくりのかなしみがいう (ろくもじ)

025「触」

本当はその指先に触れたくて触れられなくてグーを作った (如月綾)

026「シャワー」

水泳の授業の前の水シャワー子らは両手を合わせ修行す (海)

031「大人」

大人って 言いかけたまま膨らますもう割れそうにないチューインガム (飯田彩乃)

032「詰」

ビン詰めのマーマレードに込められた四半世紀を今夜たべます (新藤ゆゆ)

033「滝」

気付いてはくれないでしょうその滝におれの涙が交じっていても (ちょろ玉)

034「聞」

朝父を連れ帰り知る新聞の伝える事実と現実の距離 (Jingo)

鈍感なほうが幸せらしいから何も聞こえてない振りをする (如月綾)

036「右」

この道が千本通りこの先が右京区きみへと書いてた住所 (ネコノカナエ)

037「牙」

とこしえに睦みあうのも辛かろう象牙細工の二羽のうさぎよ (久野はすみ)

命名に何か悲しい事実とかあってもなくっても象牙海岸 (久哲)

038「的」

アップルパイが圧倒的な正しさで崩されてゆく白い窓ぎわ (新藤ゆゆ)

039「蹴」

蹴る人と蹴られる球はグランドに。蹴られる人は今日休んでる。(飯田和馬)

041「喫」

制服を脱いだあなたは母の顔喫茶店にも誘えないほど (小倉るい)

副顧問定年ののち喫煙室の窓の濁りの色ふかまらず (鮎美)

043「輝」

きみの瞳の奥底にある輝きをすくおうとしてまた間違える (飯田彩乃)

044「ドライ」

梅雨のなき雪国なべてドライにて賞味期限を無視する人々 (jun)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 

この【追補版】は、前回の自身の選歌時(11/10以降)より12/01までに投稿されたものから、新たに選歌したものです。  
 
 
posted by 磯野カヅオ at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも!096「拭」- 100「先」

096「拭」

イメージを払拭したき鏡台に映る明日の素顔、寒紅 (みずき)

拭くことと汚れ広げることは違う 掃除させたらだいたいわかる (猫丘ひこ乃)

清拭をすませし母は棺のなか唇にほんのり紅さしやりて (原田 町)

皿の上のソースを拭うパンのごと自ら汚れてゆく力とは (久野はすみ)


097「尾」

紅のドレスを水に揺らめかせ金魚は尾びれに微熱宿せり (たつかわ梨凰)

彗星の尾をつかまえて繰り返し私は誰と訊くような日々 (東 徹也)

表情は毅然としているつもりでも恥ずかしいほど語尾が震える (五十嵐きよみ)

結婚と尾行を両立させているきみバスタブにアイスを溶かし (我妻俊樹)


098「激」

テレビでは過激なことと響いても映せる程度の激しさである (松木秀)

激しさを増してく雨を口実に「泊まっていけば」と今日こそ言える (流川透明)

進んでも後退しても二つ目の激しく後悔するだろう恋 (ワンコ山田)

中年は激しく煙草を吸っているプラットホームのもっとも端に (黒崎聡美)


099「趣」

趣のある納屋ですね それ以外誉める言葉の出て来ない家 (なまにく)

「趣」と言へる程度に掃き残す 木枯らしに散る銀杏落ち葉を (佐藤紀子)

万が一用があるならいつだって無趣味なぼくは壁際にいる (飯田和馬)

汽水域ばかりの日々に子育ても料理も所詮趣味に終わりぬ (青山みのり)


100「先」

マネキネコダックの着ぐるみ今週は先輩がやるやっぱり上手い (フユ)

たやすくは先を語らぬひととゐて海に入りゆく落日を見る (白亜)

来世もタイタニックの先端で笑いあってるふたりでいたい (やや)

昨日にも今日にも飽きて日めくりに先ずは子猫をさがす夕暮れ (青山みのり)



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
  
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選歌は続くよどこまでも!091「締」- 095「樹」

091「締」

愛されることの幸せかみ締めてコンパクトの蓋ぱちんと閉める (nobu)

いつからか比喩ではなくて文字通り胸が締めつけられる気がする (はぼき)

靴ひもを締め直したらもう一度つまずく前から始めればいい (五十嵐きよみ)

水道の蛇口をきゅっと締めながら転校すると告げたね、君は (白亜)


092「童」

童顔で幼く見える僕だけど頼ってほしい頑張るからさ (薫智)

掌に消毒の泡を擦り込んでマスクを着けてゆく児童館 (秋月あまね)

向日葵と背比べする童女らの眩しさは陽のためのみならず (真桜)

早送りできぬものとしレンタルの映画予告と大童のわれ (梅田啓子)


093「条件」

無条件にイエスを言い続けることの誇らしくまた甘いゆうぐれ (佐竹弓彦)

条件を減らしましょうとコンサルの人に言われて10個に減らす (南野耕平)

ひとことが余計で交換条件のように聞こえてしまう約束 (五十嵐きよみ)

人になるための条件教えてやるし雨と一緒に降って来い、空 (ちょろ玉)


094「担」

担当ですと挨拶に来し看護婦の声の明るき夕べの病室 (西中眞二郎)

これからの日本の国の担い手は汚染とともに生きる覚悟で (遥)

担うべきわが花はただ歌うことかいつか骸となるまでの日を (佐竹弓彦)

担当者不在のために一切の愛に応えることが出来ない (あみー)


095「樹」

記念樹と言い張るのならそれも良しふたり見上げましょうか鉄塔 (中村成志)

街路樹に巻きつけられた電飾がただ刺々と浮かぶまひるま (黒崎立体)

街路樹に番号札がつけられてそれらも街の備品だと知る (はぼき)

やわらかい樹木にもたれぼくたちは双子を授かるような気がする (ちょろ玉)


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2012年11月12日

選歌は続くよどこまでも!086「片」- 090「舌」

086「片」

片側の靴の底だけすりへって屈託のない日常を抱く (シュンイチ) 

久々の友は片手を軽く上げて葬列後尾に加わり行けり (西中眞二郎) 

片恋をしている君が羨ましいたとえ相手が私としても (流川透明) 

片陰に身を寄せ凌ぐ夏の陽も季の過ぎれば恋しくならん (コバライチ*キコ) 


087「チャンス」

今日こそは旨い!と言わせるチャンスだと 張り切ったのに又指を切る (椋) 

人々の落としたチャンスが流れつく昏き河から綺麗な虹が (小夜こなた) 

ふたたびは来ないチャンスと知りながら東の空を幾たびも見る (紗都子) 

この手には握られたチャンスあるはずできっと生きてる意味あるはずで (希屋の浦) 


088「訂」

全身に訂正印は押されててひとつひとつが思い出である (夏実麦太朗) 

駆除された語彙のことなど思いつつ改訂前の原書にあたる (秋月あまね) 

改訂の意欲はあれど売れそうにないと言われて電話を切りぬ (西中眞二郎) 

改訂という名の減便続けられバスは市民の足ではなくなる (湯山昌樹) 


089「喪」

秋霧の晴れて火葬場まで歩く 喪服の脇は汗ばんでいる (tafots) 

夕飯の段取り想う知り合いの知り合いの知らない人の喪で (青野ことり) 

喪失を余儀なくされし人々の悲しみ今も滲む秋灯 (小夜こなた) 

喪失を失はされる僕たちの周りに欲しいモノが溢れり (桑原憂太郎) 


090「舌」

にが虫を潰したやうな面持ちで巻き舌をんなの英語を聞きぬ (ケンイチ) 

舌先の舐めて飲み込む恋ひとつ萩の下葉の露ぞ甘かる (槐) 

庭つ鳥にわとりの舌尖るとき啼くぞ啼くぞと見ている 啼かぬ (tafots) 

竜舌蘭を教えてくれてありがとう 魚磔、鬣、だいすきでした (黒崎立体) 



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選歌は続くよどこまでも!081「秋」- 085「甲」

081「秋」

四季のある国に生まれてまだ秋の正しい使い道を知らない (なまにく) 

蚊を殺し蚊をころしゆく秋の夜は死海の塩を湯船に入れる (梅田啓子) 

秋霧の晴れ着を借りて妹のそれに似るよう目尻を描く (tafots) 

来春の仮契約を期待してまずはメールで秋波を送る (桑原憂太郎) 

   
082「苔」

薄ら日の斑を描きつる苔寺にいにしへびとの影行き交ひぬ (紫苑) 

不安げに苔の線量測る友こんな時代に生きる子どもら (遥) 

朽ち臥して苔生す杜や蝉しぐれ夢と過ぎにし夢の数々 (すずめ) 

憎しみは舌苔のごとくはびこれり きれいなうたはもう歌えない (梅田啓子) 


083「邪」

風邪をひく前に葛根湯飲めと風邪ひいてしまった後に言われる (夏実麦太朗) 

ひまわりを薬罐に刺して8月はわが家を邪宗門と名付ける (柳めぐみ) 

清らかでいたい気持ちが邪魔をして魚と水が区別できない (あみー) 

邪魔になる髪を縛って休日の午後いっしんにタイルを磨く (五十嵐きよみ) 


084「西洋」

西洋のお菓子が青い空ならば和菓子は春の薄墨の色 (ほたる) 

垂乳根の祖母の生まれはたしか西洋酒に浸けた無花果が好き (tafots) 

あの店の西洋菓子を手みやげに詐病の友を気遣いにゆく (はぼき) 

親戚の集まりでまた語られる西洋かぶれの祖父の思い出 (五十嵐きよみ) 


085「甲」

若き日の歌読みおれば年甲斐なき感傷も湧き夜の更けたり (西中眞二郎) 

消しゴムで消せば済むのにおおげさに甲板(デッキ)ブラシを持ち出すからだ (佐竹弓彦) 

真っ先に冬が降り立つ手の甲はきっと君からするりと逃げる (ワンコ山田) 

甲高な足の娘は季節ごとシンデレラにはなれないと泣く (津野) 



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2012年11月11日

選歌は続くよどこまでも!076「桃」- 080「たわむれ」

076「桃」

照れながら頬桃色に染める君一瞬で僕恋におちてく (薫智) 

トンネルを抜ければ桃の花盛り甲府盆地の午後は晴れたり (西中眞二郎) 

扁桃の花にまろびぬ早春は少女の胸のふくらみのごと (ケンイチ) 

花よりもふっくら熟れた実の赤さこそ桃色と名づけたくなる (五十嵐きよみ) 

 
   
077「転」

「逆転の報徳」「復路の順天堂」ひっくり返すための卓袱台 (珠弾) 

異文化をかすか見せて壇上の転校生はあかるく笑う (紗都子) 

セレブとは電動機付き自転車で庶民のチャリを越えてゆくこと (じゃこ) 

転んでもすぐには起きず金色(こんじき)の落ち葉のこゑにしばし聴き入る (今泉洋子) 

 
078「査」

封筒が持ち物検査に引っ掛かる先生それはあなた宛です (流川透明) 

神父さん「査定に響く」が口グセで今日も笑顔で告悔室に (中村成志) 

検査機の針がふれてる愛されているのですねと先生が言う (フユ) 

日食の連続写真に紛れ込む視力検査のマークのひとつ (五十嵐きよみ) 


  
079「帯」

お祭りに行こうと突如誘われてオフィスでググる帯の締め方 (柳めぐみ) 

なぜ母は携帯電話のキータッチ音を消さずにメールを打つの (なまにく) 

帯に惚れ衝動買いをしたものの似合う着物が見つからなくて (るいぼす) 

燃え上がる山のふもとに鹿降りて吾は妻帯と何度でも言ふ (津野) 


080「たわむれ」

たわむれに背負うと危険腰を二度やってしまった僕は知ってる (夏実麦太朗) 

たわむれに交わし始めた掛け合いはジェンガのパーツ引きぬくようで (真桜) 

たはむれし夜の吐息のせつなしや振り向く君の飾らぬえまひに (槐) 

たはむれの母の言葉を真に受けてをさなの大き目が潤みたり (佐藤紀子) 



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選歌は続くよどこまでも!071「籠」- 075「溶」

071「籠」

自転車の籠に入ったチラシには明るい暮らしが保証されてる (夏実麦太朗) 

手籠には七草摘んで妹と遊びし川は今日もながれて (はこべ) 

とびっきり陽気に歌う鳥ばかり集まれパパゲーノの鳥籠に (五十嵐きよみ) 

自転車の籠の炭酸飲料は綺麗見紛うほど穴だらけ (秋) 

   
072「狭」

蕗の薹ひとつ葉陰に出で初めてわが狭庭にも春おとづれぬ (紫苑) 

狭量と言はれ鬱なる数日を季の移ろひて櫻雨降る (みずき) 

灯台の狭い階段のぼりきりいきなり視界いちめんの空 (五十嵐きよみ) 

時雨降る若狭街道まつすぐに登美子の家まであと三里ある (今泉洋子) 

 
073「庫」

図書館も短歌俳句に冷たくて閉架書庫でも取り扱わず (平和也) 

兵庫帯を結んでくれた母は今認知症にて異文化圏内 (はこべ) 

格納庫では翼を傷めた爆撃機のメロンはまだかという声がする (佐竹弓彦) 

ハマッちゃいますよねやっぱ剥くのってナショナル冷蔵庫の薄皮を (中村成志) 


 
074「無精」

出不精になってみようか雨の日に貴方をずっと抱いていようか (蓮野 唯) 

部屋の隅 丸くほこりが 纏まりて 無精やもめに 春昼(しゅんちゅう)来たり (廣珍堂) 

経験の有無精確に調べゆくオペを託する外科医を得むと (梅田啓子) 

「寝坊した」寝癖もなおさないままの無精ひげには結構惚れる (村木美月) 


075「溶」

世界など溶ければよいとふたりして貪るペイパーバックの時間 (東 徹也) 

今すぐに溶けて消えたいあのひとに当たる朝陽を遮らぬよう (山本左足) 

水色に水をどれだけ溶かしても雨の絵が青空の絵になる (じゃこ) 

溶け込んでいるのか浮いているのかはどちらでもいい みんなと笑う (南野耕平) 



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posted by 磯野カヅオ at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも!066「息」- 070「芸」

066「息」

息子には息子としての考えが 母は今でも抱きしめたいのだ (ひじり純子)

うつしよは春の夢よと吐息せば永くもがなと肌寄する君 (すずめ)

息を詰め画面に見入る走者らが100メートルを駆け抜けるまで (五十嵐きよみ)

ディスプレイを見つめたままの21:00後ろの席のため息を聞く (桑原憂太郎)

   
067「鎖」

こころを鎖し生き来しひとの唇はたとえば糸切り鋏のうすさ (梅田啓子)

ランドセル置くが早いか駆け出した鎖を解かれた犬さながらに (五十嵐きよみ)

昼過ぎに炎上をして営業を終へた夕べに閉鎖されをり (桑原憂太郎)

夏コミケやぐら橋には人あふれ封鎖されたと報がながれる (村田馨)

 
068「巨」

見た目なら少し巨漢の僕だけど小心者で好きと言えない (薫智)

希望ってものを巨大化してみたらダルビッシュ有みたいになった (天鈿女聖)

一粒ずつ巨峰をもいで洗う人皮も食べろとわたしに言うの (ゆり・くま)

降り積もる有効数字以下の誤差 巨大な星を遠くから見る (南葦太)


 
069「カレー」

四畳半 裸電球 ちゃぶ台の   「カレー」 って名の 「しあわせ」 あった (映子)

キャリーバッグ押す人群れの連なれるモノレールへのエスカレーター (西中眞二郎)

がしがしとカレー南蛮食らう娘をホテルへ誘う勇気が出ない (佐竹弓彦)

「好きな食べ物」に「カレー」と書くような人を選んだほうがいいのに (本間紫織)


070「芸」

趣味として手芸を挙げる少女たち指にほのかな自慢を見せて (紗都子)

芸術は見上げたときに現れる聖橋そのアーチのライン (村田馨)

画の前に光の当たらぬ場所があり学芸員の念が集まる (津野)

あのコより愛しているの?あなたから芸術的な嘘が聞きたい (葉月きらら)



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選歌は続くよどこまでも!061「企」- 065「酢」

061「企」

吾が未だ動けるを知りひそひそと娘等は何かを企ておりぬ (アンタレス) 

街づくりの企画まだまだあると言う七選めざす市長のポスター (原田 町) 

はるやまで鎧兜(よろいかぶと)が五千円 企業戦士が買いに集まる (牛込太郎) 

隠し味を教えてほしいと頼んだら企業秘密とはぐらかされる (五十嵐きよみ) 

   
062「軸」

僕にあるぶれない軸は君の為喜ぶことを求めることで (薫智) 

軸足が大地に根付き一本の樹になるヨガの立樹のポーズ (ほたる) 

遊ぶ時この指とまれをした私たんぽぽ組の軸だったのに (葵の助) 

掛軸に秘めし想ひを読み解きて活くる一枝の藤の花房 (槐) 

 
063「久しぶり」

ビフカツは 久しぶりです 食べませう 再就職の 口を知らぬか (廣珍堂) 

久しぶりに旧友集まる土曜日はPTAの作業と当たれり (湯山昌樹) 

携帯を手に取りては置き、溜息す「お久しぶり」では始められなくて (佐藤満八) 

母親になると便りのあった朝 久しぶりだな花を買うのは (音波) 


 
064「志」

木も土も春となりたる朧踏み勇志の櫻凛と咲かさむ (みずき) 

禁煙を志したる灰皿に長き吸殻あるが嬉しき (西中眞二郎) 

「賞与」ではなくて「寸志」をいただいた非正規雇用の冬、30歳 (葵の助) 

同僚と6000円の居酒屋で部内の志気の強度を測る (桑原憂太郎) 



065「酢」

酢漿草(かたばみ)の触るれば爆(は)ずる実の如く君が言葉に涙の散りぬ (横雲) 

青き香をはなつ酢橘(すだち)を掌に包めばひと日華やぎにけり (紫苑) 

ケンカして口もきかずに食べている今日のサラダは酢が効いている (流川透明) 

春の野に遊べる記念(かたみ)酢の物の蕨食(は)みつつ酔へる君かな (槐)  


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選歌は続くよどこまでも!056「晩」- 060「プレゼント」

056「晩」

日の暮れておのれに向かふ時の欲し茜の空に晩鐘わたる (紫苑)

その意識なきままに日を送りおれど既に晩年なるやも知れず (西中眞二郎)

晩飯をのり弁などで過ごしては第三歌集のために貯金す (松木秀)

過去からは学ぼうとしないこの国にわが晩年を預けるほかなく (梅田啓子)

   
057「紐」

プラダ着るアン・ハサウェイになりたくて、パンプスを履く あゝ紐育 (佐藤満八)

くつ紐を一人で結び駆けてゆく 初登校の一年生が (佐藤紀子)

立秋の頃より組紐教室に通いはじめし妻の口紅 (穂ノ木芽央)

靴紐を結び直して立ち上がるときの無敵な気分が好きだ (南野耕平)

 
058「涙」

更に又激しくなるや涙雨芭蕉打つ音の夜に響けり (横雲)

左目の涙は涙管異状ゆえと聞かれぬ前に言い訳をする (西中眞二郎)

水なんて買うもんじゃないそれがもし女子高生の涙なら買う (熊野ぱく)

新しい涙が流れていく以上続くバナナの国の闘争 (南葦太)


 
059「貝」

貝殻のように閉じてた純粋な魂を今我が手に堕とす (蓮野 唯)

とき過ぎて逢ふ瀬の水脈も絶たるればいづこに寄らむ恋忘れ貝 (紫苑)

ムール貝のスープを飲めば吾の中に小さくエーゲ海が生まれる (猫丘ひこ乃)

一心に返す波待ち貝殻を靴いっぱいに我が子は詰める (佐藤満八)


060「プレゼント」

キャバ嬢に俺の作品プレゼント ヤフオクに出て妻が落札 (北大路京介)

腕傷め日傘させない母親にプレゼント来たりつば広帽子 (七十路淑美) 

神様のプレゼントだと言ひ聞かす運動会の朝の快晴 (佐藤紀子)

プレゼント交換している最中にわずかにふれた手が宝物 (匿名希望)


※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 17:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選歌は続くよどこまでも!051「囲」- 055「きっと」

051「囲」

蜘蛛の囲に捲かれて黙す黒蝶の魂なるか夕星(ゆふづつ)の燃ゆ (みずき) 

囲碁部からむりやり連れて来たデブに我が相撲部のすべてを託す (山本左足) 

干からびた野菜に囲まれ佇める麦わらのひと風に従順 (由弥子) 

徒夢を範囲指定で削除する右クリックが微妙に不調 (南葦太) 

   
052「世話」

里方に向日葵(ひまわり)咲くも世話好きの言葉うるさく逃げて帰りぬ (横雲) 

世話になどならんと言って撥ね付けた青の強さに我は平伏す (蓮野 唯) 

世話好きの婆の差し出す見合いの写真 あれで何とか今の所帯が (不孤不思議) 

名のわりに世話が焼けると自動車を両手両足使い動かす (はぼき)

 
053「渋」

お見合ひを疎み渋るをいぶかれる母の瞳に百日紅(さるすべり)揺る (横雲) 

サルトルとボーボワールのカンケイをオンナメセンは渋いとオモウ (ゆこ) 

渋谷発横浜行きの特急に乗ればふられるまで二十五分 (匿名希望) 

去るならば少し気持ちが残る日に渋味の残る紅茶飲み干す (津野) 


 
054「敷」

果樹園を通り抜けてく東武線窓は四角く風をきりとる (夏実麦太朗) 

花嫁と武者との修行どの程度違うものかを比べてみたい (熊野ぱく) 

武蔵野の台地を横切りオレンジと黄色の電車が競いつつ行く (五十嵐きよみ) 

武装解除するあてもなく姑と吾は平和なエリアを保つ (小夜こなた) 


055「きっと」

容赦ない笑顔の人がやってくる きっとわたしの味方ではない (じゃこ) 

水、酸素、太陽と愛。それだけできっと私は明日を生きる (村木美月) 

けふよりもきつとあしたは良くなりますと医師の言葉は小春日のやう (今泉洋子) 

髪きりり結いしおとめごわれを見ずきっと見据えるその先の的 (冥亭) 


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posted by 磯野カヅオ at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見切り発走!24時間選歌マラソン!046「犀」- 050「活」

046「犀」

真っ黒に塗りつぶされた塊を犀と呼んだりパパと呼んだり (chari)  

八重桜さみしげなのは花房の一つひとつが犀であるから (中村成志) 

白犀を倒して暮らすこの街の秘密をぜんぶ背負って暮らす (音波) 

あなたから優をもらえる質問がみつかりません犀川先生 (出雲もこみ) 

ボルボって車は犀じゃないですかないですかって言われてもねえ (南野耕平) 

   
047「ふるさと」

バスタオルに包(くる)まれていた新生児受け入れポストが僕のふるさと (佐竹弓彦) 

合併で村の名消えしふるさとに高速道の橋脚そびえ (原田 町) 

ふるさとから届いた手紙はビリビリに破いてました 若かったから (るいぼす) 

こんな空あんな風景万人のステレオタイプのふるさとを売る (桑原憂太郎) 

ここはもうふるさとよりも数倍も長く住んでる所となった (只野ハル) 

 
048「謎」

光琳の紅白梅図の謎を解くテレビの画面に見入りておりぬ (西中眞二郎) 

紺碧のエーゲの海に浮かびいる謎の解けざるクノッソス宮殿 (コバライチ*キコ) 

不利なことを全て忘れる便利さがわが夫の持つ謎の能力 (佐藤紀子) 

謎なのは老後のことは気にしつつ後生のことはあきらめる人 (Yosh) 

きりぎしに立つわが背(せな)を謎めいた秋風の手がふはりと押しぬ (今泉洋子) 


 
049「敷」

敷石に歩幅合わせて歩いてく自分自身にだまされながら (夏実麦太朗) 

金敷のかなしき調べハンマーで打たれることを生業として (秋月あまね) 

まっすぐに敷かれたレールを行くなんてほぼ曲芸に近い芸当 (希) 

川の辺に薄縁(うすべり)敷きて膝枕語らふ君に花の影揺る (槐) 

電話機の敷設されたる道ゆけば誰かに理解されたくもなる (秋) 


050「活」

活き活きとしている君を支えたいそんな気にする笑顔なんだな (薫智) 

日常の生活の中のつまづきに気付かず歩いて行けるしあわせ (ほたる) 

活気ある街は最近少ないとシャッター通りを歩みておりぬ (西中眞二郎) 

そこまでの貧乏なのかと悲しんだ父の本棚『死活の基本』 (佐竹弓彦) 

指導要領変わって動詞の活用を早めに教える 頑是ない子に (湯山昌樹) 



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ということで、24時間が過ぎました。

現在、50首までしか選歌できておりません。

選歌マラソンとしての選歌は終了致しますが、この後も、ひき続き、できるところまで選歌して参ります。

 
 
posted by 磯野カヅオ at 14:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見切り発走!24時間選歌マラソン!041「喫」- 045「罰」

041「喫」

別々に歩き始める場所として選んだ雨の日の喫茶店 (こはぎ) 

喫煙が止められぬ君の煙吸うゆっくりとしたしんじゅうかもね (流川透明) 

停電の闇をのがれて対岸のネット喫茶で夕食をとる (芳立) 

新宿の音楽喫茶「風月堂」 わかるふりしてバッハを聞きゐき (佐藤紀子) 

漫喫のかそけきイージーリスニング 蹉跌とは温まりゆくコーラ (南葦太) 

 

042「稲」

射目人の伏見稲荷を薙ぎ倒す御手ふくやかに審判の朝 (tafots) 

わが庭は都の西北さかり場の少女を早稲と人はいふとか (芳立) 

ひっそりと稲垣足穂全集がならんだ叔父の古い本棚 (五十嵐きよみ) 

蜻蛉洲滅びの火種許すまじやよ掻き熾せ稲むらの火を (すずめ) 

早稲の香の夏座敷にもとどきけり簾のおくの白き座布団 (由弥子) 

 
043「輝」

猫よけのペットボトルは輝けり朝日のつぶを反射しながら (夏実麦太朗) 

無知という無垢とはちがう輝きを備えたきみはある意味無敵 (御子柴 楓子) 

高らかに勝利を讃え鳴りわたるトランペットの輝く音色 (五十嵐きよみ) 

夕暮れに川面ちらちら輝いて 何も言わない散歩だったね (ゆら) 

研ぎ終えたばかりの米が銀色のボウルの中で輝いている (稲生あきら) 


 
044「ドライ」

向き合わず告げたいことがある今日は乾杯よりもドライブがいい (希) 

全身で風を受け止め漕ぐペダルもっとドライに割り切れたなら (五十嵐きよみ) 

義母からのドライフルーツぎっしりのパウンドケーキは隣家へあげる (小夜こなた) 

あからさま あの子絡めば 柄になく 煮えたぎってる ドライな彼が (青葉ころも) 

すまし顔しても私は知ってるよドライな仮面の下の優しさ (ひろ子) 


045「罰」

逢えぬ日は天罰ならむと諦むか枯らしたる百合いかにせましや (横雲) 

禁煙を破りしことの罰なるや昨夜以来の咳き込みやまず (西中眞二郎) 

あぢむらの騒いだ罰として書いた地球一周ぶんの恋文 (tafots) 

仕方なく湿ったままの靴を履く何かの罰を受ける気分で (五十嵐きよみ) 

天罰が甘い果実であるうちにあなたのことは帰すつもりだ (柳めぐみ) 



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見切り発走!24時間選歌マラソン!036「右」- 040「勉強」

036「右」

付け文は右かいつぶり、右桔梗、左猫を経てお糸の許へ (佐竹弓彦) 

「O」の字は左回りに書くけれど「Q」の字はつい右回りになる (五十嵐きよみ) 

右側に居た気配まだ覚えてて素直に右が向けないでいる (ワンコ山田) 

無理をして右利きのふりしてるけどそろそろ本音の自分出したい (星桔梗) 

千人の拍手よりまだ嬉しきは首席奏者の差し出す右手 (鮎美) 


037「牙」

たとうればわが絆とは祖母からの受け継ぎたりし象牙の箸なり (はこべ) 

葡萄牙(ポルトガル)、西班牙(スペイン) イベリア半島に二本の牙が並んで生える (五十嵐きよみ) 

牙をむく相手をたぶん間違えた朝(あした)になれば慌てふためく (星桔梗) 

この指を噛み切るほどの牙を持つ犬の純情「待て」と言われて (やや) 

ワンピースのタグ引きちぎりわたくしが牙もつことをはっきりと知る (黒崎聡美) 

 
038「的」

ブログにもツイッターにも残さないあなたと過ごす私的な時間 (空音) 

標的をわざと外してみるも好し百点などは狙わずとも好し (ひじり純子) 

遅々として進まぬ議論のただ中でさらりと的を射る君がいる (コバライチ*キコ) 

的確にグリーンピースを除きゆくあなたの白い春の指さき (さとうはな) 

グルグルと間接的に手渡され冷めた紅茶のような伝言 (南野耕平) 

 

039「蹴」

蹴球に疎しというは米国で英語話せぬことに変わらず (平和也) 

幾にちをともに送らむ夕なぎの湖(うみ)を蹴立ちて千鳥のゆきぬ (ケンイチ) 

じゃあまたね小石と語り帰る道 一蹴りごとに寂しさ募る (椋) 

青空を蹴り上げたくて漕いでいたブランコ きっとみんな正しい (本間紫織) 

ちょうどよく静かな壁が無いことを恐れてるからもう蹴れません (音波) 

 

040「勉強」

語らふも生きながらへる勉強と花影の下酔ひて歌へり (槐) 

勉強を投げ出したくなる青空が窓の向こうに広がっている (五十嵐きよみ) 

「勉強になります」と言ひ引き下がる 反論したきをぐつと押さへて (佐藤紀子) 

勉強を教えてください中性詞から女性詞になる一時間 (莢豆) 

本当は歌を勉強してみたい もしも私が姫でなければ (睡蓮。) 



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見切り発走!24時間選歌マラソン!031「大人」- 035「むしろ」

031「大人」

大人には見えない星を指差して今日もあの娘は「なー!?」って笑う (山本左足) 

守るため戦う人は気高くて 大人しいのは美徳ではない (青野ことり) 

大人への階段を子が踏み外すたびに謝るあの日の母に (今泉洋子) 

大人気ものの君にはわかるまい含み笑いをする道化者 (星桔梗) 

大人としてここにいること鉄棒の低さにふれる校庭の隅 (黒崎聡美) 


032「詰」

問い詰めてもらいたかったこともある 君のやさしい残酷が好き (ほたる) 

瓶詰のジャムを五六個抱えつつ瓶の重さを受け入れている (秋月あまね) 

原色はバッグに詰めて自己主張しない淡色のわたしでいる (遥) 

七人掛けに五人の座る昼下がり少し詰めてと言えず立ちおり (原田 町) 

お見合いのテキサスポテンヒットからうまくつないで十一手詰め (珠弾) 

 
033「滝」

水煙に滝見台ごと包まれて誰もが縦でシャッターを切る (湯山昌樹) 

ナイアガラのホテルの浅き眠りには滝の轟く音が入りくる (佐藤紀子) 

<感情をコントロールする>七夕の短冊は泣く滝状の雨 (ワンコ山田) 

可愛らしいおでこの汗が滝のよう君は上でも僕の下でも (かげいぬ) 

泣きながら深夜に髪を洗うときわたしは凍る凍る滝です (さとうはな) 

 

034「聞」

突風に翻弄される新聞紙ガードレールにまだしがみつく (ほたる) 

朝の陽を昨日の新聞紙に包み花の静かな葬儀を終える (たつかわ梨凰) 

見聞きせず考えないで忘れればほぼこのような空き缶となる (佐竹弓彦) 

君の声にだけ聞き耳立てている昼の学食喧騒の中 (真桜) 

聞こえないふりをしていた窓ガラスつたう雨粒ばかり見ていた (五十嵐きよみ) 

 

035「むしろ」

寸分も手抜かりのない出来栄えにむしろ喪失感が止まない (秋月あまね) 

雪の降る中待ち続け寒いのはむしろ来られぬあなたの方だ (流川透明) 

徹夜する午前四時には性欲がむしろ睡眠欲をこえたり (松木秀) 

怪我よりも揃いのカップ片方を 無くしたことがむしろ悲しく (椋) 

文月にあせばむしろいシャツを脱ぎ水に飛び込む少年の影 (砂乃) 



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見切り発走!24時間選歌マラソン!026「シャワー」- 030「敗」

026「シャワー」

「そんなにも酒が好きか?」と眞夜中のシャワーヘッドが首を傾げる (酒井景二朗)

夕立に気を取られる生徒達英語教師はジャストアシャワーと (只野ハル)

突然に夕立激しく降りたればシャワーシャワーと子ら駆け出しぬ (七十路淑美)

感情はふらつきやすい水温が安定しないシャワーのように (五十嵐きよみ)

立ちつづけのシャワーが入浴サービスへそしてホームへ母は行きたり (由布子)



027「損」

生活は充実してるはずだけど損することにひどく怯える (夏実麦太朗)

微笑みを損なうことが怖かった肯定ばかりし続けた頃 (こはぎ)

誕生日、ホワイトデーにクリスマス。特別損失計上したい (御子柴 楓子)

大地震 家屋倒壊 大打撃 確定申告 雑損控除 (エクセレント安田)

阿呆なのが唯一取り柄の僕ですが損はさせないまずは踊ろう (おかき)

 

028「脂」

脂粉の香きみに移さじ午後の陽に傾(かたぶ)くまでの倫(のり)を保ちつ (紫苑)

脂取紙で折ったら脂鶴千羽並べてあとはきたかぜ (ありくし)

脂っぽい料理は禁止、禁止って室井佑月に怒られる夢 (天鈿女聖)

愛される脂肪になったおっぱいは愛される名前を授かって (古屋賢一)

校庭に臙脂のジャージが並びいる十七歳のからだを秘して (梅田啓子)
 



029「座」

腕時計大切そうに填めるのを裸のままで座って見てる (空音)

恩寵という名のひかり身に受けて玉座のような切り株にいる (粉粧楼)

カーテンの中膝抱え座り込む青森行きの寝台特急 (真桜)

途上にて一人かも寝む草枕とりとめも無し星座を見上ぐ (藻上旅人)

亡き祖父の手作り座椅子今もなお定位置にありふるさとの家 (はぼき)

 

030「敗」

春花のたふとき花を与へたい 敗北になほ慣れえぬ母へ (tafots)

こぎぬける船路にたけて荒浪に敗れるすべを習はない子ら (芳立)

勝ったのは私の方で何故かしら敗けたあの子に集まるひかり (本間紫織)

天辺に登れば空が見えるはず 一敗くらいなんてことない (青野ことり)

小説を大人になっても読んでいるなにに敗れた彼か知らぬが (み)



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見切り発走!24時間選歌マラソン!021「示」- 025「触」


021「示」

カーナビの周辺地図が示す道曲がれば「春はもうすぐそこです」 (希)

嬉しさをうまく態度で示せずに笑いさざめく輪の外にいる (五十嵐きよみ)

しあわせを態度で示す方法は「みんなで」というところが大事 (あみー)

意思表示苦手なわれが歌を詠む褻(け)がある事に救われてゐる (今泉洋子)

どこまでが作品ですかこの星の展示目録いただけますか (松浦可音)



022「突然」


突然の雨のようだね 赤、青、黄、白、傘の花ひらかれて 春 (富田林薫)

「ありがとういつでもそばにいてくれて」何言ってんの何を突然 (芹澤すばる)

突然の雨に濡れたるおみな子の肌はアーモンドの匂いする (梅田啓子)

真夜中に目が覚めたあとかなしみが突然やってくるので困る (稲生あきら)

旅にでる前触れもなく突然に通潤橋を撮らんがために (村田馨)
 

023「必」

やはらかさ必要としてねころべばあたたかな泥、一夜にて出づ (新井蜜)

必ずや喜び呉れしか知らねども吾は懸命に貼り絵の文を (アンタレス)

必要悪って顔して公園に鉛の鳥が赤い実落とす (いまがみまがみ)

必死さが足りないんだと幾度も言われながらも生き延びている (南野耕平)  

ほんとうに必要なものは何だろう紙片の束になか指を切る (黒崎聡美) 


024「玩」

壊れてるように好きだと繰り返す届かぬ想い哀れな玩具 (薫智)

二人して買った玩具の発条をどうして私だけが巻くのだろう(発条=はつじょう) (高島津諦)

増殖をつづける玩具まちじゅうが夏になってもこどもがいない (杜崎アオ)

父さんの玩具箱にてスイッチを押せば震える物を見つけた (龍翔)

食玩の「食」の部分に住む価値と同類項であなたをくくる (新藤ゆゆ)
 
 


025「触」

リーマンとあわや接触よけもせず謝りもせずマンガにふける (もふ)

触れさせてもらえていたのは<潮干狩りちびっこプラン>のごとき表層 (佐竹弓彦)

きみの手を触れる触れざる指先に指輪はあらず 私でいいか (柴田匡志)

腫れ物に触るがごとく昨日の管理部長が始末書を読む (桑原憂太郎)

3年でただ一度だけ触れた手は運動会の借り物競争 (裕希)



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2012年11月10日

見切り発走!24時間選歌マラソン!016「力」- 020「劇」

016「力」

蟻の巣を消し去るほどのやみくもな力をかつて持っていたこと (飯田彩乃)  

乳を吸う力強さとふにゃぐにゃのからだのアンパランスが赤子 (ミカノ) 

「環境の美化に協力してね」って書かれたチラシが散らばっている (なまにく) 

一行に漢字を十個書いていく鉛筆握る手に力込め (海) 

おにぎりに指の跡残るくらいの力加減で抱いてください (嶋田さくらこ) 


017「従」

従わぬことで飼い主喜ばす猫の増長なお限りなし (平和也) 

駅前で従兄弟だという人と会う約束をした顔で分かった (熊野ぱく) 

二等辺三角形の辺長く水脈従へて鴨滑りゆく (コバライチ*キコ) 

子は我でないのに我の延長のごとく従えようとしており (ミカノ) 

去年まで一緒に川ではしゃいでた従姉手を振る無防備な腋 (出雲もこみ)  

 

018「希」

まるで身に覚えがないが国民は平和を希求するのだといふ (芳立) 

最後まで小箱に残るべきでした「希ナ望ミ」という咎人は (中村成志) 

かなうのは第三希望 なまぬるい炭酸水で喉をうるおす (五十嵐きよみ) 

びんの中ゆ見上ぐる空は青く遠くこれを希望と人はいふらめ (ひろ子) 

希土類の某国依存体質は克服すべき重大事なり (鳥羽省三)  



019「そっくり」

真夜中にのむ酒よろしするめいかコンロの上にそっくりかえる (夏実麦太朗) 

みぎの子とひだりの子とはそっくりで そっくりだけど、みぎ・やや優勢 (魚住 蓮奈) 

そっくりに描かれてるかはわからない法廷の画の中のあいつは (猫丘ひこ乃) 

手伝えば「自分でやりたかったの!」とそっくり返る二歳児の自我 (ミカノ) 

ほんとうにパパそっくりと言われても会えない人のことは知らない (紗都子) 


020「劇」

虚ろなる国会質疑のやりとりを劇中劇の如く見ており (西中眞二郎) 

劇場のロビーの椅子に残されたバラ一輪とよく似た孤独 (五十嵐きよみ) 

生き方を墨で一文字表せば留めも撥ねをも劇と一気に (ゆこ) 

風呂敷をまとえば始まる寸劇はプリキュアVS仮面ライダー (ミカノ) 

劇薬を飲まされたように暴れてる 脱水の時、うちの洗濯機 (フユ) 



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