2012年11月10日

見切り発走!24時間選歌マラソン!011「揃」- 015「図書」

011「揃」

お揃いの雑貨手に取りまた戻し別々になる日ばかり思う (こはぎ) 

連弾の旋律先に走り行き休符を待って揃える呼吸 (津野) 

玄関に靴を揃えてあけがたの何事もなく履けますように (富田林薫) 

前髪を切り揃へたる心地なり上句を「なり」で切りたる歌は (星和佐方) 

「こち亀」が全巻揃っているという理由で通っている理髪店 (山本左足) 


012「眉」

ロッカーの鏡のなかにひとりきり眉の角度を確かめている (夏実麦太朗) 

眉二つを交互に動かし笑わせる父は優しい動物でした (佐竹弓彦) 

木漏れ日が綾なす椅子に向き合いて眉うつくしき人と思えり (さとうはな) 

眉上げて教師の言葉に逆らいて十四歳の冬に悩めり (湯山昌樹) 

あのシーンが白眉だよねと問いかけてキョトンとしてた男を捨てた (伊織) 

 
013「逆」

盲目の恋は嘘つき男さえ逆説的にいい人とする (ほたる) 

風吹けば狭き水路も波立ちて風に逆らう船足遅し (西中眞二郎) 

スニーカー逆さに干して休日の陽のまぶしさにあとは任せる (五十嵐きよみ) 

逆らってごらん言い訳してごらん心をつかって話がしたい (ぱぴこ) 

教科書を逆さのまんま読みあげてしまったように終わる告白 (ちょこま) 


014「偉」

わたしただ一人の前で偉人たる君の硝子の栄光を聞く (こはぎ) 

脚のないモビルスーツに乗りたがる俺を怒れば偉いんですか (古屋賢一) 

偉人らも胎児以前の出来事はみな書物から学んできたり (たつかわ梨凰) 

ぞろぞろとお付きを従え偉そうな10,000,000の先頭の「1」 (五十嵐きよみ) 

偉いとはほめられずとも壊さぬよう朝な朝なに焼く目玉焼き (青山みのり) 


015「図書」

飲み終えた缶の始末の怠りの巻き添えを食う図書館の本 (平和也) 

課題図書読んで書いてる感想文みたいに見える君からのメール (ひじり純子) 

手に添わぬ感触を持つ価値観は推薦図書の姿して来る (粉粧楼) 

読めなくて借りも出来ないその心図書目録に君を加える (流川透明) 

図書館の本は書店の本よりも老成するのがひと足早い (五十嵐きよみ) 



※お名前等、間違えがございましたら、申し訳ありません。
 
 
posted by 磯野カヅオ at 20:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見切り発走!24時間選歌マラソン!006「時代」- 010「カード」

006「時代」

生きにくい時代と嘆くテンプレを来世の分も用意しておく (太田槙子) 

教科書とちがって私の来し方は時代ごとには色分けできず (芹澤すばる) 

時代越え呼びあふ声や鶯の谷越ゆる影追へばいとほし (槐) 

振り向けば数多の栞が挟まれてそれを時代と人は呼びます (わたつみいさな)

わるい夢みたいっていうこの時代しか知らなくて憐れまれてる (月原真幸)


007「驚」

驚きの感覚次第に薄れるも喜寿近づきし齢(よわい)のゆえか (西中眞二郎) 

プルトップ千切ってみれば驚いた表情をする缶ビールの顔 (ひじり純子) 

驚きはこと過ぎし後襲ひ来ぬ 家をゆがめて地のゆれし午後 (佐藤紀子) 

驚きの白さを謳う洗剤であたしの過去は洗えないよね (守宮やもり) 

牛乳が驚くほどに食卓をとても冷たく跳ねた左手 (伊上淳之介) 


008「深」

深海魚図鑑の中の鮟鱇のオスの部分で終わるつもりだ (佐竹弓彦) 

※大変残念ですが、お歌の形式上、こちらにお歌を載せることができません。 (五十嵐きよみ)

伝わらぬ言葉の多さ木蓮の若木に深く水遣りをする (さとうはな)

紫の三色菫(パンジー)みつしり寄せ植えり悔ひ深きこと忘れ難きに (RIN) 

生ゴミを収集所まで運び出し朝のひんやり深く吸い込む (海) 


009「程」

音程を外さぬことには定評があるとはもしや褒められたのか (高島津諦)

二日程留守にしますと書き置いて上野駅にて行く先決める (梅田啓子)

あどけない少女が蝶に変わりゆくための過程でほどくみつあみ (本間紫織)

程々に好きになったり嫌ったりできるくらいなら結婚してた (まつたけ)

程度問題ってよく言っていたうちの父もうひとつなにかよく言っていた (本田瑞穂)


010「カード」

古典派やアダム・スミスがリカードが目をマルクスの労働価値説 (浅草大将)

手のうちのカードの心もとなさに十首めにして向き合うことに (平和也) 

今回のデータはイエローカードですと医師はつぶやきカルテを閉じぬ (西中眞二郎)

添えられたカードの文字に癖がある カタログ通りの薔薇の花束 (ひじり純子)

紛爭など無關係さと言ひたげに古いタンカードックに眠る (酒井景二朗)



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posted by 磯野カヅオ at 18:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

見切り発走!24時間選歌マラソン!001「今」- 005「点」

ということで、今日の午後2時ぐらいから、24時間かけて、ひたすら選歌を行ってまいります。

対象は、現時点(2012/11/10)で投稿済みのお歌。

これから、ラストスパートで良いお歌が投稿される可能性も大いにありますが、今日の時点では、それらはまだ見ることができないので、対象外ということになります。

せめて、12月にできればよかったかなとか、ツイッターでやってみたら少しは臨場感も出るのかなとか、やり方もそれなりに少しは考えてみたのですが、そんなことを考えている時間も惜しんで、ひたすら選歌。

できれば100番目のお題まで辿り着きたいのですが、もしかするとキビしいかもしれませんです。


それでは、レッツ・スタート!

001「今」

子の「まんま」今朝も炊いてる 十八の頃の彼氏がくれた土鍋で (ミカノ) 

カタログの折られた端を戻しつつ今を一緒にいるだけの人 (伊上淳之介) 

鶏絞めの一つ話の祖父の手にアヲハタの蓋かたき今朝なり (理阿弥) 

今ここが災後なのだとこゑがする朝のしづかなドトールにゐて (西巻真) 

妹のために絶望せず生きるこんなことしか今はできない (由布子) 


002「隣」

隣町のホテルにしてもすることはおんなじだから安さでえらぶ (天国ななお) 

海を見る人の隣で海を見る人の隣で海を見る猫 (南野耕平) 

数えれば後部座席の空き三つ迷うふりして隣を確保 (床ゆうこ) 

あのバスが隣の町を通過する頃にはどうか忘れてほしい (田丸まひる) 

≪おにぎりを食ってるやつの隣≫だとメールされてる気がする渋谷 (七生) 


003「散」

リビルドを繰り返す街へ散りばめる夜光塗料の虹は消えない (廣田) 

「きのうよりひらいているよ」と指さして母に教える散歩の途中 (なゆら) 

散剤をこぼしてしまう高熱のせいにしようと布団に潜る (小林みに子) 

その家の子が会釈して出て行った散髪される鏡の僕に (飯田和馬) 

「解散!」とおどけてみせた男から預かっている集合の笛 (伊織) 


004「果」

グレープよりさらにグレープ感のあるファンタは果汁ゼロパーセント (夏実麦太朗) 

携帯の登録消した人たちは記憶の果てでたまに生きてる (太田槙子) 

ライムくん、ユズ、モモ、リンゴにイチゴちゃん 園の名簿は果物売り場 (ミカノ) 

果物を入れた茶色い紙袋はしゃいでみえていいとおもった (本田瑞穂) 

やわらかなティッシュを捧ぐ 数億のオタマジャクシの世界の果てに (伊上淳之介) 


005「点」

春近し子ら遊びゐる浜の辺に波頭きらめく点描のごと (紫苑) 

あまさかるひなの祝に桃なくも野点の花ぞをさなまれびと (浅草大将)

まっすぐに歩いていこう泣いた日に駅のホームの点字ブロック (ゆら) 

ひそかなる採点の時の楽しみは愉快な誤答を見つけたること (湯山昌樹)

続く、かのように、思わせ、振りに、打つ、点で、話に、なりゃしねえ、だが、 (兎陸☆) 



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posted by 磯野カヅオ at 16:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 選歌 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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